睡眠時無呼吸症候群とは?
いびき・日中の眠気を放置していませんか?
「家族から、寝ている間に呼吸が止まっていると言われた」
「いびきが大きいと指摘される」
「しっかり寝ているはずなのに、昼間に眠い」
「朝起きても疲れが取れない」
このような症状はありませんか?
もしかすると、**睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)**が隠れているかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
本人は寝ているため気づきにくく、家族からの指摘をきっかけに見つかることも少なくありません。
放置すると、日中の眠気だけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクにも関係します。
今回は、睡眠時無呼吸症候群の症状、原因、検査、治療について分かりやすく解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる、あるいは呼吸が浅くなる状態です。
睡眠中に呼吸が止まると、血液中の酸素が低下します。
すると脳は、
「酸素が足りない」
と判断し、本人が自覚しない程度に何度も目を覚まします。
そのため、見た目には何時間も眠っていても、実際には睡眠が細かく分断されてしまいます。
その結果、
・朝起きても疲れが取れない
・日中に強い眠気が出る
・集中力が低下する
といった症状が起こります。
なぜ寝ている間に呼吸が止まるの?
睡眠時無呼吸症候群の多くは、
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
と呼ばれるタイプです。
眠っている間に、舌や喉の周囲の筋肉が緩むことで気道が狭くなり、空気の通り道が塞がれてしまいます。
特に、
・肥満
・首周りが太い
・あごが小さい
・舌が大きい
・扁桃が大きい
・鼻づまりが強い
といった方では、気道が狭くなりやすくなります。
「太っていないから大丈夫」とは限りません
睡眠時無呼吸症候群というと、
「太った男性の病気」
というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、実際には痩せている方でも起こります。
日本人では、あごが小さい、顔の骨格的に気道が狭いといった特徴によって、肥満がなくても睡眠時無呼吸症候群になることがあります。
そのため、
「痩せているから自分は関係ない」
とは言い切れません。
こんな症状がある方は要注意
睡眠時無呼吸症候群では、夜間と日中の両方に症状がみられます。
夜にみられる症状
・大きないびき
・いびきが途中で止まり、その後大きく呼吸する
・寝ている間に呼吸が止まっている
・夜中に何度も目が覚める
・寝汗をかく
・夜間に何度もトイレへ行く
・口が乾く
などがあります。
朝にみられる症状
・朝起きたときに頭が痛い
・口が乾いている
・十分寝たはずなのに疲れている
・すっきり起きられない
といった症状があります。
日中にみられる症状
・強い眠気
・仕事中に眠くなる
・会議中にうとうとする
・テレビを見ながら寝てしまう
・集中力が続かない
・イライラしやすい
・記憶力が落ちたように感じる
などがみられます。
特に、
運転中に眠くなる
場合は注意が必要です。
いびきをかく人は全員、睡眠時無呼吸症候群?
いびきをかくからといって、必ず睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。
ただし、
「いびきが非常に大きい」
「いびきが突然止まる」
「呼吸が止まった後に、むせるように大きく息をする」
という場合には注意が必要です。
特に家族から、
「寝ている間に息が止まっているよ」
と言われたことがある方は、一度検査を検討することをおすすめします。
日中の眠気は「寝不足」だけではありません
日中に眠いと、
「最近忙しいから」
「年齢のせい」
と思ってしまいがちです。
しかし、毎日十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず強い眠気が続く場合、
睡眠の時間ではなく、睡眠の質が低下している
可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに脳が一瞬覚醒します。
本人は覚えていなくても、一晩に何十回、何百回と睡眠が分断されることがあります。
そのため、
「7時間寝ているのに眠い」
という状態になるのです。
睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群は、
「いびきがうるさいだけ」
の病気ではありません。
睡眠中に何度も低酸素状態になることで、体には大きな負担がかかります。
特に、
・高血圧
・不整脈
・心不全
・心筋梗塞
・脳卒中
・糖尿病
などとの関連が知られています。
また、日中の強い眠気によって、
・交通事故
・仕事中の事故
・判断力や集中力の低下
につながる可能性もあります。
高血圧がなかなか下がらない方も注意
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が止まるたびに交感神経が活性化します。
簡単にいうと、眠っているはずなのに、
体が何度も「緊急事態」の状態になる
ということです。
そのため、血圧が上昇しやすくなります。
複数の降圧薬を飲んでいるのに血圧が高い方や、朝の血圧が高い方では、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することがあります。
夜中にトイレへ何度も行く原因になることも
「夜中に2回、3回とトイレに起きる」
という場合、前立腺や膀胱だけが原因とは限りません。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の呼吸障害によってホルモンの分泌が変化し、夜間尿が増えることがあります。
そのため、睡眠時無呼吸症候群を治療すると、
「夜のトイレの回数が減った」
という方もいます。
朝の頭痛もサインのひとつ
睡眠時無呼吸症候群では、
「朝起きたときだけ頭が痛い」
という症状がみられることがあります。
睡眠中に呼吸が不十分になることで酸素が低下したり、二酸化炭素が増えたりすることが関係します。
朝の頭痛が繰り返される場合には、いびきや日中の眠気がないか確認してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群の検査はどうするの?
「検査というと、一晩入院しないといけないのでは?」
と思う方も多いかもしれません。
現在は、自宅で行える簡易検査から始められる場合があります。
自宅で行う簡易睡眠検査
簡易検査では、就寝前に小さなセンサーを装着し、自宅で普段通り眠っていただきます。
主に、
・呼吸の状態
・血液中の酸素濃度
・脈拍
・いびき
などを確認します。
検査結果から睡眠中の無呼吸や低呼吸の回数を調べます。
AHIとは?
睡眠時無呼吸症候群の診断では、
AHI(無呼吸低呼吸指数)
という指標がよく使われます。
これは、
1時間の睡眠中に、無呼吸や低呼吸が平均何回起きているか
を示す数字です。
この数値が高いほど、睡眠中の呼吸障害が多いことを意味します。
ただし、簡易検査と精密検査では評価方法が異なるため、結果については医師が症状と合わせて判断します。
より詳しい検査が必要な場合
簡易検査だけでは十分に判断できない場合には、
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
という精密検査を行うことがあります。
PSGでは、
・脳波
・眼球運動
・筋電図
・呼吸
・酸素濃度
・心電図
などを同時に測定し、実際にどの程度眠れているかまで詳しく調べます。
睡眠時無呼吸症候群の治療
治療方法は、無呼吸の重症度や原因によって異なります。
① CPAP治療
中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、
CPAP(シーパップ)治療
がよく行われます。
CPAPは、寝るときに鼻などにマスクを装着し、空気を送り込む治療です。
空気の圧力によって喉の気道が閉じるのを防ぎます。
イメージとしては、
空気で気道を内側から支えて、呼吸の通り道を確保する
治療です。
適切に使用できると、
・いびきが減る
・無呼吸が改善する
・日中の眠気が改善する
・朝すっきり起きられる
といった効果が期待できます。
② マウスピース
軽症から中等症の一部では、
口腔内装置(マウスピース)
が使用されることがあります。
下あごを少し前に出した状態にすることで、気道を広げる治療です。
歯科と連携して作成することがあります。
③ 減量
肥満が関係している場合には、減量も非常に重要です。
体重が増えると、首や喉の周囲にも脂肪がつき、気道が狭くなりやすくなります。
一方で、
「痩せれば必ず治る」
というわけではないため、必要に応じてCPAPなどの治療を併用します。
④ 寝る姿勢を工夫する
仰向けで寝ると、舌が喉の奥へ落ち込みやすくなり、無呼吸が悪化する方がいます。
そのような場合には、
横向きで寝る
ことで改善する場合があります。
⑤ 飲酒を控える
アルコールには筋肉を緩める作用があります。
就寝前に飲酒すると、喉の筋肉も緩みやすくなり、
・いびき
・無呼吸
が悪化することがあります。
寝酒は避けることをおすすめします。
睡眠薬を飲んでいる方は要注意?
睡眠時無呼吸症候群が疑われる方では、睡眠薬の種類や使用方法について慎重に判断する必要があります。
薬によっては眠気や筋弛緩などの影響が加わることがあります。
「睡眠薬を飲んでいるのに朝すっきりしない」
「薬を増やしても日中眠い」
という方では、
単純に睡眠薬が足りないのではなく、
睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか
確認することが重要です。
家族からの指摘が診断につながることもあります
睡眠時無呼吸症候群は、本人が気づいていないことが非常に多い病気です。
そのため、
「いびきがすごい」
「息が止まっている」
「苦しそうに寝ている」
というご家族の指摘が、診断のきっかけになることがあります。
もし家族から一度でも、
「寝ているときに呼吸が止まっている」
と言われたことがある場合は、一度ご相談ください。
こんな方は睡眠時無呼吸症候群の検査をおすすめします
次のような症状がある方は、一度検査を検討してみましょう。
・いびきが大きい
・睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
・日中の眠気が強い
・十分寝ても疲れが取れない
・朝起きると頭が痛い
・夜中に何度もトイレへ行く
・高血圧がある
・肥満がある
・運転中に眠くなる
・睡眠薬を飲んでも睡眠の質が良くならない
特に、
「いびき+日中の眠気」
がある場合は注意が必要です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。
大きないびきや日中の眠気だけでなく、
・高血圧
・心臓病
・脳卒中
・糖尿病
・夜間頻尿
など、さまざまな問題と関係することがあります。
また、
「毎日しっかり寝ているのに眠い」
という方では、睡眠時間ではなく睡眠の質に問題がある可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、適切に検査・治療することで改善が期待できる病気です。
「いびきが気になる」
「寝ている間に呼吸が止まっていると言われた」
「昼間に眠くて仕事に集中できない」
「朝起きても疲れが取れない」
という方は、お気軽にご相談ください。
睡眠の状態や症状を確認し、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の検査や治療をご提案します。
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。症状や検査結果によって診断・治療方法は異なります。気になる症状がある場合は医療機関へご相談ください。
